空手歴23年、空手を愛する筆者が未経験の人でも分かるように空手を徹底解説!

空手

知名度が高い格闘技「空手」、
皆さんご存知のように、
2020年の東京オリンピックからは空手が正式種目になりました。

オリンピック出場を目指すぞ!

テレビのCMで見る空手美人みたいに、カッコよく形(かた)をやりたい!

空手を習って純粋に強くなりたい!

など、いろんな角度から興味がわくと思います。

しかし、空手には多くの流派があり、ルールもよく知らなければ、

結局のところ、
「興味はあるけどよくわからない!」と感じる人も多いはず。

日本の伝統武道なのに、わからないのはちょっともったいないと思いませんか?

日本勢には、金メダルの有力候補が何人もいます。
空手について詳しく知っていた方が、

絶対にオリンピックを楽しめます。

そこで、空手歴23年の筆者が、「空手の流派」について、未経験の人でも分かるように丁寧に説明したいと思います。

この記事を読めば、
空手の流派の違いから、
オリンピックの空手に関すること
そして空手の極意を奥の奥まで知ることができます!

空手とはそもそもどういうものなのか?
テレビで見る空手はどんな空手なのか?
試合はどんなルールなのか?
どの流派の空手を習った方がいいのか?

が詳しく分かるようになり、さらに空手に接することが楽しくなるのです??

目次

そもそも「空手」とは?

空手は、正式には空手道といい、
拳、肘、膝、足などを使って、主に打撃を使う格闘技です。

空手の起源は、15世紀頃の「手(ティー)」という琉球の格闘技。
そこから、「唐手(トゥーディー)」→「唐手(からて)」→「空手」→「空手道」。

また、テレビで空手を見かけることも、最近では増えたように思います。

K―1で有名な「極真空手」

オリンピック種目の「スポーツ空手」

形(かた)をする「カッコイイ空手」

ルールの違い、流派の違い、いろいろありますが、それらの違いを無視して、全部ひっくるめて空手、と呼ばれていますね。

現在では、空手道が、2つに大きく分かれています。
空手を分ける一番大きな分類は、技の違いよりも、

「どうやって競うか?」

つまり、
試合のルールで区分けできます。
試合のルールで大きく分けると、

「伝統空手」・・・試合では攻撃を相手に当てない「寸止めルール」。伝統的な形(かた)と組手。
「実戦空手」・・・試合で攻撃を相手に当ててKOする

オリンピック種目は「伝統空手」。
大きな流派に分かれているのも、この伝統空手です。

「実戦空手」にも流派はあります。
しかし、考え方としては、

空手 → 伝統空手か実戦空手か → 伝統空手だとしたら流派は何かであり、

「空手の流派」といえば、つまりは「伝統空手の流派」です。

伝統空手

オリンピックの空手は「寸止めルール」の伝統空手というジャンルに区分されます。

この伝統空手は、
・組手(1対1で攻防戦を繰り広げる)
・形(一人で技を繰り広げてその技の精度、力強さ、美しさを競う)があります。

(注)瓦は割りません??

筆者自身、空手を始めて23年間、割ったことありませんし、試し割りを見たこともありません。

組手
おおまかなルール

組手は、1対1で突きと蹴り等を使って攻防戦を繰り広げます。
KOするのではなく、技を決めてポイントで競う競技です。

「寸止めルール」で、
「きれいに決まった攻撃」にポイントが与えられます。

つまり当てたら反則。

ポイントに関しては、おおまかに次のとおり

空手 ポイント
「きれいに決まった攻撃」にポイントが入る
こう聞くと、武道と言うにはあまりに大人しそうで、
もの足りないようにも聞こえるかもしれません。

しかし、空手道における「きれい」とはつまり、

「空手の基本に忠実な攻撃」

突きでいうと、
「全体重が拳に乗った」攻撃です。

「もしこのまま寸止めせずに当てていれば、一撃必殺もしくは大ダメージを与えていただろう」という攻撃に、ポイントが与えられるのです。

「寸止めルール」でも激しい!

「寸止めだから安全だね」とか、「痛くないんでしょ?」
「やっぱり空手はガチで戦うフルコンタクトだよね」とか聞きますが、

伝統空手の組手だって、攻撃が当たってしまえば
ダメージは大きく、とても激しいものです。

空手は武道である以上、
生半可な競技ではありません??

攻撃が当たってしまうと、
失神することも珍しくありません。

防具をつけていても、
油断していると歯が折れることもあります。

多くはないですが、
アゴを骨折する人もいます。

ポイントになる攻撃=もし当たっていれば大ダメージになった攻撃=全体重が乗った攻撃

これが当たってしまえば、
もちろん大ダメージになるのです。

当たったら反則ですので、
コントロールも不可欠です。

(不思議なことに、「寸止めルール」なのですが、ボディにはガンガン当てても反則を取られることはほとんどありません。暗黙のルールですね・・・・。でも、明らかにダウンさせようとして殴り切るよう突きは、もちろん反則を取られます。)

礼を重んじる!

「礼に始まり、礼に終わる。」
空手が競技化した現在も、これはルールとして決められています。

礼をしなければ
指導を受け、場合によっては反則になります。

ガッツポーズも禁止です。
(見逃されることもありますが・・・)

私の後輩が、上段回し蹴りで3ポイントで大逆転を遂げ、思わずガッツポーズ!!
即座にポイント取り消しになったことがありました・・・・

ガッツポーズも無しなんて辛気臭いなあ・・・
喜びを表現するくらいいいだろうに・・・
と思う方もおられるかもしれません。

色々な考え方がありますが、

空手道という武道においては、
争いに勝つ事よりも、空手道を通じて人格形成が重要な目的。

相手も必死で稽古をして、闘いに臨んでおり、自分も必死の稽古の結果をぶつけた。

自分が勝ったとしても、時の運かもしれない。
自分が優れていると勝ち誇るために稽古をしてきたわけでもない。
相手の研鑽を尊重し、素晴らしい勝負をしてくれた相手に感謝する。

そこにきて、

自分を誇ると思われる可能性のあるガッツポーズ等の挙動をすることは、
「相手への尊敬の念、配慮が足りないとみなされる」
ということです。

伝統空手の組手はスピードと、何より駆け引き!

伝統空手の組手の特徴は、

「駆け引き」と「速さ」です。

この速い攻撃も、手だけでシャッ!と撃つパンチは、ポイントになりません。

全体重が乗った突きをボクシングのジャブクラスのスピードで撃つ。
同じように蹴りもめちゃくちゃ速いし、全体重が乗っているので重いです。

これは、筆者が好きな西村拳選手の組手↓

こんなに素早くて腰が入った攻撃が当たったら、そりゃ大ダメージです。

組手では、攻撃の速さ、踏み込みの速さ、それだけでは勝てません。
なによりも、駆け引き。

これも一流選手同士の組手です。

すごい・・・・

この2人とは、絶対あたりたくないです・・・

※タイトルで「永木伸児vs松久功」となっていますが、松久選手ではなく、樋口大樹選手ですね

また、

このように、めちゃくちゃ速い空手の突きですので、
相手の間合で撃たれたら、

まずよけられません。

だから、相手の間合いにさせず
かつ、自分の間合いにもっていく。

そのために、

「せめぎ合って間合いをはかる!」

「フェイントで相手の体制を崩す。」

「ふと間合いを切ったと思いきや瞬時に詰めて意表をついて自分の間合いにする。」

すると、

感覚的に分かるんです。
今だ!!行ける!!という瞬間が!

この瞬間を逃さず攻撃をしかけると、
気持ちよくスパーン!!と
会心の一撃が決まります!

これはもう感覚です。
距離が遠い近いだけでは到底はかり切れません。

例えば、同じ位置関係でも、

相手が前の足に体重がかかっている場合と、
後ろの足に体重がかかっている場合では、
対峙する相手の印象は全然違います。

相手が後ろに体重がかかっている状態(気持ち的にでものけぞったような状態)だと、
非常に攻めやすく、相手は防ぎにくい。

逆に、

相手が中心に体重をかけている状態だと、なかなか攻めにくい。

無理に攻めると「死んだ攻撃」になってしまい、カウンターを食らってしまいます。

自分が攻撃しやすく、相手が防ぎにくい・反撃しにくい状態を作るための駆け引き。

この駆け引きが空手をしていて
一番面白く、また、難しいところです。

観戦していても、ポイントになる攻撃は、
キレイに決まった攻撃じゃないとポイントにならないので

決まった突き、蹴りを見ると、気持ちがいい!

せめぎ合って、仕掛けるか仕掛けないかの駆け引きの後、
一瞬ですべてがぶつかり合い、決まる技。

おすすめの選手の組手

おすすめは、
オリンピックの組手競技優勝候補
荒賀龍太郎選手の組手です!

ズバ抜けた組手センスと圧倒的な練習量を誇る空手エリート達の中でさえ、
さらにズバ抜けたセンスと実力を持つ天才選手です!

この動画の荒賀選手にやられた選手達でさえ、
スター軍団だの、モンスターだのと言われた猛者達。

それを涼しい顔(のように見える)でキレイに大技を決める!

ひとつひとつの動きが 神業です・・・

オリンピックでも金メダルが期待されます!

そして、

学生日本一近大の西村拳選手!

スマートな容姿、しかし熱い組手、カッコイイ!!↓(さっきと同じ動画ですが、スルーした方のためにもう一度 笑)

形は、誤解を恐れずに簡単にいうと、伝統的な空手の技をテンプレート化した、一続きのダンスのようなものです。

1対多数を想定し、ありとあらゆる攻撃に対する防御、そこからのありとあらゆる反撃が組み込まれています。

形をすることを、「演武」と言いますが、相手がいることを想定して「演じ」、戦う(「武」)ことから、そのように言われます。

もちろん、踊りではないですから、実際に相手の攻撃を受けられる動き、
相手を一撃で倒せるような攻撃(全体重を乗せた攻撃)でなければなりません。

そのような動きを、
美しく、力強く極めて演武をする。

これがいかにできているかを競うのが、
空手の「形」競技です。

形の審査基準

これには、細かい審査基準が設けられています。

たとえば、

・カカトが地面にしっかりついているか、
・手やヒジの角度は定められた形通りの角度になっているか、
・視線は想定した相手に向けられているか、
・ワキが空いていないか、
・腰は落ちているか、
・体重移動はスムーズか、
・形が終わった後で元の場所に戻ってきているか、等々。

これらの基準を守りつつ、空手の理想の攻撃ができているか、
美しさ、力強さ、気迫があるかを競います。

各流派の起こり(四大流派)

手と足を使って打撃を主とした武術、空手。

これを時代の猛者たちが、武道の魅力に取りつかれたように人生をかけて研鑽に研鑽を重ねて、独自にアレンジを加えて体系的に大成させた。

それが「流派」として確立していきました。

現在では、大きく分けて、4つの流派があります。
剛柔流、糸東流、松濤館流、和道流です。
(ほかにも数えきれないほどの多くの流派、文派があります)。

流派の特徴は形に表れる

「寸止めルール」のオリンピック組手には、流派の特徴は基本的には顕著には出てきません。

組手の試合を見ていて、
「足技のコンビネーションが〇〇高校の組手っぽいな」とか、
「さすが、〇〇大学の組手は、腰が据わってて少しも下がらん!」とか、
「〇〇道場の組手は駆け引きがうまい!」ということはよく言われます。

しかし、これは糸東流の組手だ! 剛柔流の組手だ! という感想を抱く人はいません。

したがって、
どの流派が最強か?という答えは、

やはり
個人の選手の実力による
という月並みな答えしか出て来ません・・・・・

(もっとも、松濤館流だけは、流派内の試合では、防具なし、素手での一本勝負という、一歩間違えば大けがに至るような試合がなされていたことから、全日本空手道連盟(オリンピックとほぼ同じルール)での組手も、やはり激しさがあるな、という印象を抱くことはあります。)

流派の違いは、主に形にあります。

形は、各流派の技を凝縮して、テンプレート化したものです。だからこそ、流派の違いが如実に現れます。

形を競う競技がありますが、これが、TVのCMやプロモーションビデオで話題となった、カッコイイ空手です。形は、どの流派にもあります。

剛柔流(ごうじゅうりゅう)

伝統空手のタイプとして、2つあります。
「首里手」(しゅりて):スピーディーで直線的な動きが多い
「那覇手」(なはて):ゆっくり力強く、曲線運動が多く、ねばりがある動きが特徴

現代の組手には表れない違いですが、形のタイプは首里手と那覇手の間の性質をもつ
泊手(とまりて)で区別されています。

那覇手の代表的な流派が剛柔流です。

剛柔流の流祖

流派の創始者は、宮城長順(みやぎちょうじゅん)師。

明治時代に生まれ、那覇手の大家、東恩納寛量(ひがおんなかんりょう)師のもとに入門し、中国拳法の修行にも励み、技の研鑽と共に理論も研究し尽くしました。

剛柔流の特徴

剛柔流の特徴は、中国の南の民族の舟を漕ぐ姿勢を取り入れた足運びです。
中国の南部は河が多いため、舟がポピュラーな移動手段でした。

なので、南の民族は、常に足が不安定な舟の上での環境に慣れていました。

宮城師が中国拳法を学ぶために中国に渡った際に、この南の民族の足運びを見ると、足の裏が床から離れる事が少なく、動きは床を足で擢る様に移動していることに気づきました。

この足が舟底に根付いているような立ち方、移動の仕方。
これにヒントを得て、
その立ちが「三戦立(サンチンダチ)」という立ち方が生まれたと言われています。

この立ち方や動きが極めて難しい!

よほどの天才か、四六時中空手の練習をしている人でなければ、
1年や2年ではできるようにはなりません。
筆者もそこそこの出来になるまでに、
4~5年かかりました。

鍛錬法の特徴としては相手の攻撃の手を絡め取るようにひっかける「掛け」による円運動。
これで相手の動きを捉え、衝撃に対して負担を最小限にして受け流し、動きの中から反撃に取って返す。

これにより相手を翻弄・コントロールし、究極的には相手の意識をも制御することを目的とします。

「意識のコントロールなんて、そんなことできるか」

という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自分の攻撃が相手のいいようにいなされて翻弄されると、自分の意識までもが相手の手の上にあるかのような精神状態になり、戦意を保つのもやっとになります。

難しい言葉で「発力の抜き差し」「力の逆利用」「気の流れの感知」という概念で説明されることもあります。

剛柔流の理念としては、
・事象は全て「剛」と「柔」。
・剛は攻め、柔は守り。
・剛柔の一体化は闘争を避ける無我の心境へと導かれる。
ということをゴールとします。

精神面の鍛錬があってこその武道

創始者宮城師の教訓として
「人に打たれず、人打たず ことなきをもととするなり」
という無事の哲学なるものが、剛柔流の理念を集約しています。

相手を倒す、傷つけることが目的ではなく、争いを回避、終結させることを目的とした、素晴らしい理念ですね!

糸東流(しとうりゅう)

糸東流は、首里手那覇手の両方を取り入れた空手です。
その上、琉球古武道の棒術や釵術(さいじゅつ)をも技に組み入れた総合的な武道である点が特徴です。

糸東流の流祖

創始者摩文仁賢和(まぶにけんわ)師は、首里手の空手の大家である糸洲安恒(いとすあんこう)師について糸洲派(いとすは)を学びました。

そして、後の剛柔流の創始者となる宮城長順師の紹介で那覇手の大家である東恩納寛量(ひがおんなかんりょう)師に東恩納派を学びました。

摩文仁師は、他にもいろいろな空手や武術を取り入れます。

中学卒業後警察官になった後も、首里手・那覇手以外の形・技法について模索。
松村派、新垣派などの空手各派を修めました。

空手以外には琉球古武道の棒術、釵術(さいじゅつ)。
それら全ての技術と精神を融合、融和させたものが糸東流空手道です。

お分かりのように、糸洲師と東恩納師の頭文字を取って、糸東流です。

糸東流の特徴

技法上の特徴は、突き蹴りだけでなく、投げ、関節技をも含む、総合武道。

また、「守・破・離」(基本に忠実に・それを分析改良応用・そこから独立して新たな境地に至るという、武道や茶道等の師弟関係の在り方)という言葉に代表されるように、

形という基本を守る→それを応用して組手と結び付ける→そしてその奥義までをも修める。
この流れが体系づけられ、これに基づいて指導がなされています。

糸東流は、とにかく技が多彩なので、
形もめちゃくちゃ多いです。
何年も反復練習をしていると、どんなに形が多くても体が勝手に覚えてくれますが・・・

棒術の形や、釵術(さいじゅつ)の形もあります。
これが糸東流の形、チャタンヤラクーサンクー。
長くて、やる方はめっちゃ疲れますが、見栄えのする形です。

空手美女、宇佐美里香氏のチャタン。

首里手の形の特徴として、スピーディさが出ています。
余談ですが、筆者としては、二段蹴りのところとかでの観客の拍手が気になります。

海外の大会ならではですが、リズミカルに盛り上がるような感じが調子狂うというか・・・

精神面の鍛錬~君子の拳~

空手の技術的な側面よりも、その本質は、精神鍛錬です。

開祖摩文仁賢和師は「君子の拳」(くんしのけん)を標榜し、「円満な人格の形成・向上」を目指した指導を行いました。

やはりここにも、「円満な人格」、すなわち自ら争いを選択せず、争いを回避、終結させることを目的とする精神を見られ、人間の道として素晴らしい理念があります。

松濤館流(しょうとうかんりゅう)
松濤館流の流祖

松濤館流の創始者は、船越義珍(ふなこしぎちん)師。
「近代空手道の父」と言われています。

流派の名称は、師ご本人が名乗ったわけではありません。

書道家でもあった船越師の雅号が「松濤」であったこと、また、松のように堂々と、怒濤のように力強いという意味で、後に「松濤」館流とされました。

「唐手」を「空手」に改名し、かつまた「空手術」を「空手道」に変更したのが、この船越師です。

松濤館流の特徴

松濤館流は、「型に忠実であれ、空手に試合はない」という船越師の遺訓を遵守し、「型」稽古を重視するのが伝統的な姿

純粋な松濤館流も、相手を立てて組手の練習もします。しかしこれは、勝負ではありません。
形で使う防御や攻撃が、実際に使える代物として鍛錬されているかを確認するものです。

松濤館流空手道は年齢・性別・性格・身体の大小などに関わりなく、いつでもだれでも始められる武術であり、無理なく続けられるように作られているもので、武術のみならず、体育的な要素も重視されています。

松濤館の形はダイナミック!

松濤館流の形でみる技は、ひとつひとつが非常にダイナミックです!
攻撃の際の踏み込みも他の流派に比べて非常に大きいため、迫力がものすごいです!

床をドーーン!!!と踏み鳴らしたりする形もあります。
動きがでかい!

ここまで大きな動きを他の流派の形試合でやると、減点されます(流派の違いですが・・・)。

松濤館流の形は、とにかく、大迫力です。

なぜこんなにダイナミックな技になったのかというと、体が小さい人が大きい人の相手にすることを想定して作られたからだとも言われています。

相手が自分よりもかなり大きいから、自然と防御の動作や踏み込み等の動きが大きくなる、ということですね。

これが、松濤館の形「ウンスー」の団体の形。
力強い!!

形の後の、「分解組手」の演武も素晴らしい!

分解組手は、形に込められた
「敵がここからこう攻めてきたときに、こう受けてこう反撃する」
というシチュエーションを再現したもの。世界レベルのクオリティです!!

精神面の心得

松濤館流も、技の鍛錬だけで良しとはしていません。

船越師は、「空手に先手なし」を含む「空手道二十訓」を完成し、
空手道を学ぶ者の心得、空手道修行者の人生訓として示しました。

松濤館流では、空手道を、
「精神修養の道であると共に、誰にでも出来る、体力がなくとも長く続けられる体育であり、健康法であり、護身術である」としています。

和道流(わどうりゅう)
和道流の流祖

和道流の創始者は、大塚博紀師。

和道流は、沖縄伝来の唐手を日本武道とマッチさせた、日本化された空手と言われます。

大塚師は、非常に多くの大家・流派の創始者となる方の師事を仰ぎ、この和道流を大成させました。

まず、
旧土浦藩武術指南役からの指導を受け、
神道揚心流柔術第三世・中山辰三郎行義師に師事(免許皆伝)、神道揚心流第四世を継承。

そして
松濤館流の船越義珍師からの指導を受け、
日本伝流兵法本部拳法の本部朝基師・糸東流の摩文仁賢和師との技術交流等により、空手を研究。

それだけでなく、
柳生新陰流、富田流小太刀の体の動かし方など、剣術、柔術も取り入れました。

相当な武道・武術研究家のようです・・・・
どれだけ武道研究に熱心だったんでしょうか・・・

その集大成が、和道流空手です。

和道流の特徴

和道流は、上記のように剣術、柔術など、あらゆる日本の武道を空手にとりいれたことから、日本化された空手と言われています。

和道流の形の技は、剛柔流や糸東流よりも、松濤館流に似ています

四大流派その他が勢ぞろいする、オリンピックのルールと同じルールで開催される大会(全日本空手道連盟の選手権等)では、和道流の形を目にすることは割合少ないかな、という印象です。

また、柔術を取り入れているので、投げ技、足技も豊富です。

そして、剣術等あらゆる武術の研究の賜物か、無駄な動きが少なく、洗練されている印象です。

和道流の真髄

流祖大塚師の歌、「武の道はただ荒事とな思ひそ 和の道究め和を求む道」。

和道流は、「敬、愛、禮(れい)」にのっとり、争うことよりも難しい「和」を求めることを目的としています。

相手と争って倒すことよりも、和を求めることの方が難しいとはよく言ったものです。
相手をやっつけるのではなく、和の道の追求がその真髄なのです。

どの流派を選べばいいの?

空手の練習形態は、空手の道場ごとに全然違います。

どの流派を選ぶかは、
何をしたいかによります。

9割が組手稽古!という道場もありますし、
9割が形!という道場もあります。
これは、流派の違いではなく、道場の方針の違いです。

形をしたい!

流派選びで確実に違いが出るのは、「どの形をするか」です。

ですので、動画で調べてみて、
「糸東流の形がやりたい!」

そう思ったら糸東流の門をたたいてください。
そうすれば、糸東流の形を教えてもらえることは確実です。

具体的にどの道場にすべきかは、実際に足を運んでみないとわかりませんが・・・

組手をしたい!

形には興味がわかないので、
「とにかく組手を!」

という方は、近くの道場に足を運んで練習風景を見て、組手の練習が行われているかを確認するのが一番でしょう。

見れば形と組手の大体の割合がわかります。

雰囲気が自分に合うか、求めているものがあるかも一目瞭然!

競技が全国レベルの形・組手がしたい!

形でも組手でも、
「青春をかけて全国を目指したい!」

という方は、

各流派の公式ホームページの大会記録の都道府県大会の成績上位者の出身道場の門をたたくのもいいでしょう。

以下、参考サイト
剛柔会↓
https://www.karatedo.co.jp/gojukai/

糸東会↓
https://www.karatedo.co.jp/shitokai/

日本空手協会(松濤館流)↓
https://www.jka.or.jp/local/

和道会↓
https://www.karatedo.co.jp/wado/

空手道の精神とは

空手は、船越師により、「空手」から「空手道」とされました。

戦う技術である武術ではなく、戦いを題材にして人生を歩んでいく「武道」になったのです。
つまり、いかに攻撃と防御を効率的にするか、を突き詰めることが真の目的ではありません。

それは、争いを解決することを最終目的とした、手段にすぎません。

見てきたように、どんな空手も、「空手道」である限り、追求すべき人間道の理念があります。
ひたすら人より強くなっても、精神と心の鍛錬がおろそかだと、暴力を生むことになりかねません。

これは、空手が直接役に立つような肉弾戦等をする必要性が低くなっている現代社会においても人生を有意義に全うしていくために必要な精神・心です。

未熟である小学1年生に日本刀を持たせても百害あって一利なし。

同じように、
戦いの技を持たせるに値する心・精神も、技と同時に磨いていかなければ、
空手という武術の存在意義など、無に等しいのです。

人間の道を学び、人生を誠実に全うするためのツールとして、空手道を学ぶ。
勤勉に、努力を怠らず、相手を尊重・尊敬するからこそ勝っても負けても礼を忘れない謙遜を身に着ける。
そんな人間こそ、空手の技を追究するにふさわしいという考えです。
空手道は、相手を傷つけるためのものでも、倒すためのものでもありません。

空手道の基本がテンプレートとして組み込まれている「形」は、必ず防御から入ります
「空手に先手なし」
先に手を出すことは、争いを勃発させる行為です。

積極的に相手に害を加えるのではなく、相手の攻撃を受けてから、
身を守るために相手と戦う
、ということが前提になっているからです。

今後の空手

オリンピック競技になり、今後ますます発展していくであろう空手。

しかし、これをただの攻撃防御をポイントの道具とする競技にしてしまうと、
あまりに寂しく、もったいないものがあります。

やはり、空手道の競技の端々に当たり前のように見られる、技の優劣には直接関係のない、

「礼」や、「ガッツポーズや挑発行為の禁止」などが、なぜルール化されているのか。
その精神を理解してこそ、本当の空手「道」を歩む者だと考えます。

ここまで読んでくださって、誠にありがとうございます!
ぜひ、動画でもいいので、空手道を目で見て、音で聞いてください!

そして、やりたくなったらぜひ、近くの道場に足を運んでみてください!
私がそうであったように、武道の精神で結ばれた、家族のような仲間がたくさんできるかもしれませんよ!

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