空手道場の選び方とは? 年間の試合数が大切になる理由とは?

いい先生との出会いは、その後の人生を大きく変えます。それは、勉強もスポーツも同じ。当然、空手も例外ではありません。

いい師範に教えてもらうことで、その後の空手人生は大きく変わります。

また、いい師範に教えてもらうことによって、門下生は強くなっていくので、道場の中に強い選手がいるという状況が生まれます。

これは、選手にとってとてもいい環境といえ、お互いに切磋琢磨していく励みにもなるのです。

つまり、通う道場によってその後が変わってくるということ。だからこそ、道場選びは大切になってくるのです。

もし、これから子どもに空手を始めさせたいと考えていたり、今通っている道場ではあまり上達しないので、道場を変えたいと思っているのであれば、今回紹介するポイントを踏まえて道場見学をしてみて下さい。

目次

道場選びの前に知っておきたいこととは?

空手には多くの流派が存在します。流派が違えば、試合のルールが違うこともありますし、型も違ってきます。また、年間に行われる大会の回数にも違いがでてくるでしょう。

まずは、その点を理解してから道場を探すようにしましょう。

流派について知る前に、知っておかなければいけないことが一つだけあります。それが、伝統派空手とフルコンタクトの違いです。

そこで、まずはこの二つの違いについて紹介していきます。

伝統派空手とは?

伝統派空手とは、いわゆる寸止めと言われている空手のこと。寸止めという言葉を聞くと、実際に打撃が当たることはないので安全だと勘違いしている人もいるようですが、実は試合や練習の中で打撃が当たることは珍しくありません。

日本で最も大きな空手団体である「全日本空手道連盟」は伝統派空手です。

試合形式はポイント制となっていて、インターハイや大学選手権といった有名な試合で採用されていて、東京オリンピックの試合でも、伝統派空手のルールが採用されています。

中学はもちろん、高校生になればインターハイという大きな舞台も用意されていて、試合経験という部分で考えれば、多くの機会があるといえるでしょう。

フルコンタクト空手とは?

一方、フルコンタクト空手と呼ばれているものがあります。

先程の伝統派空手が寸止めなのに対して、フルコンタクトの場合は直接の打撃が認められています。ただし、基本的には多くの流派で顔面と金的への攻撃は認められていません。

空手のことを詳しく知らない人にとっては、こちらの空手のイメージの方が強いかもしれません。

代表的な流派では極真空手が存在します。また、K-1を創設した石井和義氏が立ち上げた団体として有名な正道会館もフルコンタクト空手です。

フルコンタクト空手は、直接打撃のため子どもにとっては危険ではないのか?という考えもありますが、子どもの場合には防具などを着用するなどして、安全面にも配慮されているので、必要以上の心配はいりません。

どちらの空手を選ぶべきなのか?

ここでは、伝統派空手とフルコンタクト空手があることを紹介してきました。それぞれの特徴が分かったところで気になってくるのが、どちらの空手を習わせるのか?という点です。

もちろん、どちらの空手も心身を鍛えるという部分においては同じです。どちらかが劣っているとか優れているというわけではありません。

ただ、空手を武道という部分だけでなく、スポーツとしても考えるのであれば、インターハイやオリンピックといった大舞台が用意されているのは伝統派空手になります。

しかし、いきなりどちらかに決められないという場合には、先に道場の見学をしてみるのも一つの選択肢です。

近くにあるいくつかの道場に問い合わせて、伝統派空手なのかフルコンタクト空手なのかを確認して、それぞれの道場を見学してから決めても遅くはないはずです。

そこで、次章では道場選びのポイントについて紹介していきたいと思います。

道場選びの3つのポイントとは?

何かを習う時には、どこで習うのか?誰に習うのか?

ということが大切になってきます。誰に教えてもらい、どのような環境で学ぶのかによって、その後が大きく変わってくるからです。

そこで、この章では道場選びのポイントについて紹介していきたいと思います。

先生の人数

まず、最初に確認しておきたいことが先生の人数です。先生の人数というのは、道場によって違います。一人の先生が全ての生徒を見ているという道場もあるでしょうし、二人、三人といった先生が教えている道場もあるでしょう。

もちろん、先輩道場生が先生と同じように指導しているような状況もあります。ここで重要になってくるのが、何人の人たちが子どもたちを見ているのかということ。

生徒が多ければ、当然、先生が見られる範囲も限られてきます。そのため、どうしても教えられる時間や内容に限界がでてくるのです。

もし、先生が複数いれば基本練習だけ皆でやって、その後の練習では実力に応じてグループ単位での練習も可能になってきます。つまり、子どもの状況に合った練習を行うことができるということ。

それぞれの状況に合わせた練習ができるという環境は、上達していくのに最適な環境といえるでしょう。

だからこそ、先生の人数が大切になってくるのです。道場を選ぶ際には、複数の先生がいる道場を選びたいところです。

定期的な試合の存在

練習だけをしていても、自分の力量を見極めることは難しいでしょう。

だからこそ、試合が重要になってくるのです。
試合を行うことによって、子どもたちは自分の力量を知ることになります。

そして、試合を通じて勝ち負けを経験することにより、様々なことを学ぶ機会を手に入れることができるのです。

この試合で学べることというのは、決して小さなものではありません。練習をどれだけ重ねても、本番でしか味わうことのできない緊張感や痛みがあるからです。経験に勝るものはないといっても決して大袈裟ではありません。

だからこそ、定期的な試合があるのか?ということも重要になってくるのです。

生徒の人数

道場に在籍している生徒の数もチェックしておきたいポイントです。先程、師範の人数が重要という部分でも説明しましたが、生徒が多ければ多いほど先生が指導できる時間と内容に限界がでてきます。

だからといって、生徒の人数が少なければいいというわけではありません。

生徒の人数は多い方が、強くなれる環境だということができます。その理由はいくつかあるので、順番に説明していきましょう。

まず、何よりも重要になるのが、他者と比較ができるという点。勝った、負けたが全てではありませんが、だからといって無視できるものでもありません。

普段の練習や昇給審査の結果。試合での勝敗などによって、子どもたちは自分の強さを認識していくようになります。

その中で、負けたくないという思いが芽生えてくることもあるでしょうし、後から入門した子がいつの間にか自分と同じ型を練習している姿を見ると焦ったりします。

また、負けたことがない相手に組手で負けると悔しいという思いも生まれてくるでしょう。そして、こういった感情が子どもの心身を育てていく栄養剤になるのです。

ライバルの存在は、仲間と同じぐらい重要になってきます。ライバルや仲間との練習や組手を通じて、現在の自分の力を知ることになっていくのです。

つまり、他者を通じて自分を知ることができるということ。そして、その対象となる相手は多ければ多いほどいいといえるのです。

また、生徒が多いということはそれだけ様々な年代が集まるということ。学校では知り合えなかった人との出会いも一つの成長につながります。

共に、汗を流し笑い合える仲間は一人でも多い方が楽しめるというのも無視できません。

空手は個人競技ではありますが、共に練習に励む仲間の存在は大きな支えになります。

試合は一人で臨むものですが、そこに向かうまでには仲間との助け合いも重要になってきます。

だからこそ、道場に通う生徒の数も重要なポイントになってくるのです。

この章では、道場を選ぶ時のポイントについて紹介してきました。

次章では、実際に道場見学に行った時にチェックしておきたいポイントについて紹介していきます。

道場見学時にチェックしたいポイントとは?

どこの道場に通うかを決める前には、道場を見学してみることをおすすめします。やはり、実際に自分の目で確認しておいた方が安心できるからです。

しかし、あまり空手に詳しくない人は何を見ればいいのか分からないと思います。空手に詳しくない人は練習を見ても比較するものがないので、見学する時は複数の道場を見学してから比較してみる方がいいでしょう。

では、どのような点をチェックしたり比較すればいいのでしょうか?

この章では、道場見学の際にチェックしておきたいポイントについて紹介します。

生徒の靴の状態

武道は心身を鍛えるためのものです。

つまり、精神的にも成長しなければいけません。そこで、重要になってくるのが基本的なことです。

そして、その一つが脱いだ靴を並べるということ。道場に入った時に最初に視界に入ってくるのが入り口にある靴です。

さすがに、靴が脱ぎ散らかされているような道場は少ないと思いますが、それでも生徒たちがどのような意識をもっているのか?ということを知る一つの物差しになります。

自分の靴を並べる生徒は多いと思いますが、それが他人の靴であった場合はどうでしょう?

例えば、後から来た生徒が並べられていない靴を並べる。そのような道場では、基本的な教えが徹底されているといえます。

後から来た生徒が、乱れていた靴を直すような場面に遭遇したら、その道場に通うことによって、基本的な礼節が学べると考えていいでしょう。

道場を見学する際には、後から来た生徒の様子も見るようにして下さい。

怒り役の師範の存在

もし、道場に複数の先生が存在するのであれば、それぞれの役割分担がなされているのかもチェックしておきたいところです。

空手といえば、厳しいというイメージがあるかもしれません。確かに厳しさも大切ですが、それぞれの心身を鍛えていくためには自主性が大切になってきます。

自主性を身に付けていくためには、生徒各自が自分で考えていくための時間が必要になります。

いい先生というのは、生徒が自主的に考えたり動けるように指導していきます。そして、そのためには厳しさ以上に生徒の成長を待つという優しさが重要になってきます。

しかし、だからといって生徒がその部分に甘えてしまっては意味がありません。そこで、大切になってくるのが、ゆるんだ気持ちを引き締めてくれる先生の存在。

もちろん、先生が一人であっても優しさと厳しさを伝えることはできます。しかし、明確に役割を分担しておくことによって、メリハリがある指導が可能になるのです。

メリハリをつけられるようになるということは、いざという時の集中力を養うことにつながります。

集中力をつけるということは、その後の人生においても必ず役に立つはずです。

だからこそ、道場見学の際には、それぞれの先生の役割が分担されているのかもチェックしておくようにしてください。

練習メニューの確認と練習中のチェックポイント

三つ目のチェックポイントが練習メニューの確認です。

道場によって、練習メニューは違ってきます。また、時期によっても変わってきます。

例えば、大会前や昇給審査の前であれば、組手や型の練習を重点的に行う道場もあるでしょう。しかし、基本的にはおおまかな練習メニューが決まっています。

まずは、基本練習。続いて移動練習。その次に、打ち込み。最後に型や組手の練習と続いていく道場が多くなっています。
道場によっては、組手の週。型の週。

といったように、週によって変更している道場も存在するので、気になる道場を見つけた際には2、3回は見学に行くのがいいでしょう。

ここでのチェックポイントも、先生の役割が関係しています。生徒が多くなれば、どうしても個人の差がでてきます。年齢もバラバラですし、経験年数にも差がでてくるでしょう。

もし、複数の先生が存在すればクラス分けを行い、それぞれのクラスを担当しながら指導することができます。
同じ練習内容であっても、指導すべき事柄は変わってきます。

例えば基本練習の正拳突き。初心者の場合は動きを覚えることから始まります。しかし、経験年数が長い生徒であれば、より正確な動きや引手を意識するといった事柄や、腰の切れなどといったように、指導の内容が変わってくるのです。

また、練習内容のチェックポイントとしては、型の解説を行っているのか?という点も重要になってきます。

空手の型にはそれぞれの動きに意味があります。そして、その意味を知ることはとても重要になってくるのです。意識しながら練習するのと意識できないまま練習するのでは、大きな差が生まれます。

だからこそ、この動きがどのような意味があるのかを意識することが重要になってくるのです。型の練習中には、先生がどのような指導をしているのかを注意深く観察してみて下さい。

また、組手の練習は試合形式でしているのか?

という点も重要になってきます。空手の試合は、自分の成長や力を試す機会です。試合の中でしか学べないこともあります。

日頃の練習の中であっても、試合を意識した試合形式の組手を行っているのかが、その後の試合で大きな差を生むようになります。

だからこそ、日頃から試合を意識した組手が重要になってくるのです。

まとめ

空手には多くの流派が存在していて、道場の数はそれ以上に多く存在しています。

だからこそ、どこの道場に通ってどのような先生に指導を受けるのかが重要になってくるのです。

せっかく、歴史ある武道の一つ「空手」を習うのであれば、しっかりとした先生がいる道場に通うようにしたいですよね。
心身共に強くなるということは、簡単ではありません。

しかし、トライしてみる価値は充分過ぎるほどあるはずです。だからこそ、長い空手人生を過ごして成長していくための道場選びは慎重に行って下さい。

そして、道場見学の際には上記で紹介したチェックポイントを参考にしてみて下さい。