師範である父の影響で空手をはじめ、日々稽古に励むこと15年。今や組手大好きになった筆者が記事をお届けします。
空手と聞いて多くの人がイメージする「組手」。
ご想像のとおり組手とは「相手と戦うもの」です。そこで「組手についてもっと詳しく知りたい」と思う空手好きや、「強くなりたい!」と願う空手初心者も多いはず。
今回は、組手の基本や強くなるための稽古、試合でのルールご紹介します。
組手の面白さを知れば、空手そのものをもっと楽しめるようになりますよ。
また、さらに組手に詳しくなって貰うべく後半には試合の動画もお届けします!
目次
そもそも組手って?型とは違うの?
まずは「組手とはどんなものなのか?」をざっくりと説明します。
組手とは、あなたがイメージするように「相手と戦うもの」です。
・組手とは「相手と戦う」もの
組手の最大の特徴は、目の前に相手がいることです。
一人で演武する型とは決定的に異なり、突きや蹴り、受けなどを自由に使って相手と戦います。
また技を決める瞬間に「エイ!」と大きく気合いを入れ、それが入り乱れるので、試合はとても見ごたえがあります。
・「自由組手」「約束組手」がある
組手には2種類あり、「自由組手」と「約束組手」に分かれています。それぞれ言葉どおりの意味合いで、自由に技を出し合ってポイントを競うのが自由組手、最初から決まった動きを互いに繰り出すのが約束組手となります。
約束組手はあらかじめ動きが決まっているので、ほぼ型に近いイメージです。もちろん勝敗が決まることはありません。
組手と聞いてほとんどの人がイメージするのは自由組手です。もちろん試合で行われるのも自由組手。試合で勝つために多くの人が稽古に励みます。
・激しい攻防が見どころ
攻撃と守りが入り乱れるのが大きな特徴です。
突きや蹴りを使って相手に攻撃を仕掛けたり、逆に相手の攻撃を受け流したりします。とにかく自由に繰り広げられるのが組手の醍醐味ですね。
・技のキレが勝敗に左右する
組手はとにかくスピード感にあふれています。
2~3分のあいだ激しい攻防が続くので、体力の消耗も激しくなります。強くなるためには大切なのは「技のキレ」ですね。
パワーだけではポイントを取ることはできません。いかに俊敏に、かつ力強く技を繰り出せるかが勝負になります。
組手の基本的なルールは?
続いては組手の基本的なルールです。自由度の高い組手ですが、他の格闘技と比べると意外とルールが厳しいんです。
・「寸止め」が原則
組手では基本的に「寸止め」が原則となっています。
組手と聞くと、ボクシングやK-1のように相手を殴ったり蹴ったりするイメージがあると思いますが、実はNGなんです。(特に顔面はNG。お腹は当てても審判が大目に見てくれる)
少し触れるくらいなら許されますが、故意に相手に突きや蹴りを当てると反則になってしまいます。
なので基本的には、「相手の身体スレスレ」を狙って技を出すことになります。
・「やってはいけない禁止行為」がある
組手には、故意に技を当てる行為以外にも、やってはいけない禁止事項がいくつもあります。
代表的なのが「金的(股間部)」です。男性の急所となっていて、試合では「金カップ」と呼ばれる専用の防具をつけます。それから「喉への攻撃」や「脚への攻撃」、「関節への攻撃」などもNG。
柔道のような関節技もできません。
・防具をつける場合が多い
組手では防具をつけることが多いです。
主に、顔を守る「メンホー」や、お腹を守る「プロテクター」、拳を守る「拳サポーター」ですね。
大会によっては、拳サポーターのみで行うフルコンタクト制の試合もあります。
全日本選手権ではフルコンタクトの試合を見られますよ。選手にとってはリスクが高まりますが、見る側からすると防具をつけない試合は迫力満点です。
試合で勝つにはどうすればいいの?組手の練習方法とは
試合で勝ちたい、あるいは組手に強くなるにはどのような稽古をすれば良いのでしょう。
その方法を具体的に説明します。
・まずは一人で基本動作を覚える
まずは突きや蹴り、受けの基本動作を覚えるところから。
基本を抑えたら、「相手がいる想定」で技のスピードやキレを意識しながら一人で動いてみましょう。シャドーボクシングのようなイメージですね。
実際に足でフットワークをつけて自由に動いてみましょう。
・相手をつけて少しずつ試していく
組手のイメージができたら、実際に相手をつけて稽古をしましょう。
実際に目の前に相手がいると緊張感が増すので、より試合に近い練習ができます。また自然と「寸止め」の感覚も身につきますよ。
自分が技を出すのももちろん、相手にも技を出してもらって、受けの練習としてみましょう。
・試合形式で実践してみる
相手をつけた練習になれたら、次は試合形式の練習をしましょう。
道場の稽古によって異なりますが、師範や先生に審判をやってもらい、制限時間を決めてポイント制で実践していくのが良いですね。
より試合に近い感覚が身につきます。
・フットワークや技のキレを磨く
組手で強くなるには、さらに技のキレやフットワークを磨く必要があります。
イメージも大切ですが、とにかく実践あるのみです。型とは異なり「臨機応変さ」が求められる組手。
相手にいつ攻撃されても対処できるようにフットワークを磨いたり、より確実にポイントを取るために技のキレを磨きましょう。
試合の流れは?どうやって勝ち負けを決めるの?
せっかく組手を練習するからには大会にも出場したいですよね。
では試合はどんな流れで行われるのでしょうか。試合の流れと勝敗の決め方について説明します。
・主審の「勝負始め!」で試合開始
型の場合は、勝敗を判定する審判が5人いるのですが、組手では一人の主審が試合を仕切ります。
主審による「勝負始め!」の合図で試合が始まり、ポイントが決まると「やめ!」の声が。
ふたたび「始め!」の声で試合が続きます。
・試合は2~3分でポイント制
組手の試合時間は2~3分で、ポイント制です。
基本的には「相手と8ポイント差がついたら勝利」あるいは「試合時間終了時にポイントの多かった方が勝利」となります。
基本的に技にポイントが入るかどうかは主審の判断に委ねられますが、ジャッジが曖昧なときは副審のジャッジも考慮されます。
・技によってポイント数が異なる
組手では、技によってポイントが異なります。
「突き」は1ポイントで”有効”とみなされ、「中段への蹴り」や「背面への突き」は”技あり”で2ポイント、「上段への蹴り」は”一本”で3ポイントが入ります。
突きは比較的決まりやすいのでポイントが低いですね。
一方の蹴りは難しいので、決まるとポイントが高くなります。
・危険行為を行うと忠告や警告、退場も
空手のみならず他の格闘技でも同じですが、危険行為を行うとペナルティがあります。
故意に相手に技を当てたり場外に出たりすると忠告や警告が下され、先ほどの禁止行為を行うと一発退場になることも。
ルールはかなり厳正なので、あらかじめきちんと把握しておくことが大切です。
5、大迫力の試合はこちら!
組手のノウハウを文章だけで覚えるのはなかなか難しいですよね。
そこで、組手の動画をいくつかピックアップしました!それぞれハイクオリティで大迫力な試合となっています。
技のキレ、スピード共に日本トップレベル。まばたき厳禁ですよ。
【松久功選手vs荒賀龍太郎選手(全日本選手権)】
【全日本学生空手道選手権大会の準決勝】
組手を練習して「心身ともに」強くなろう
今回は、空手道における組手について詳しくご紹介しました。
相手と戦うのが組手の特徴ですが、強くなるのは身体だけではありません。
厳しい稽古に励むことで、心も鍛え上げることができます。
もちろん試合に勝つことも大切ですが、「自分自身の心」と向き合いながら稽古に励むと、一皮も二皮も剥けた成長ができるはずです。
ぜひ組手を通して、心身ともに強い人間になりましょう!