痛くて怖い?それだけじゃない!空手の試合で子どもが負けて学ぶこととは?

空手の試合で学べること。

それは、実際に試合をした人でなければ分からない部分があります。

恐怖心。

負けない心の重要さ。

そして自分との闘い。

得られるのは勝ち負けだけではありません。

もちろん試合である以上、勝ち負けという結果も重要になってきます。

しかし、勝つときもあれば負ける時もあるのが当たり前。

大切なのは、一試合ごとになにを学んでいき、その後にどのように活かすのか?ということ。

空手の試合でどのようなことが学べるのか?ということを知ることができれば、子どもと共に学んでいくことができるようになるでしょう。

今回は、試合の中で手に入れられる経験と、勝敗によって学べることについて紹介していきたいと思います。

目次

勝ち負けの重要性

人生には、勝敗がつく瞬間というものがあります。

例えば、受験の結果もその一つでしょう。

他には、就職活動による合否の結果も勝敗といえる部分があります。

これらの出来事に対して、勝敗という考え方で見るということに疑問を持たれる人もいるかもしれません。

しかし、目指すゴールがあり、そこに到達できたのか?できなかったのか?という面で考えると、勝敗という考え方が的外れだとは感じないはずです。

そして、この勝敗の結果によって、その後の人生が変わっていくという事実は覆すことができない部分があります。

もちろん、勝利至上主義というわけではありません。

勝ったことによって、次のステージに進むことができるというだけです。

その次のステージで思わぬ挫折を味わい、結果的に望まぬ結果になったというケースもあるでしょう。

逆に、負けを経験することによって、大きなものを得て、その後に活かせるということもあります。

負けを知ったことによって、その後のスポーツ人生が大きく花開いたというアスリートも珍しくないということからも、それは分かるはずです。

つまり、勝敗によってその後のアスリート人生や人生が大きく変わる可能性があるということ。

それ程、一つの勝敗というものが重要になってくるのです。

近年では、優劣をつけないために徒競走なども皆で一緒にゴールするという考え方もあります。

もちろん、その考えを否定するわけではありません。

ただ、勝敗によって得られるものがあるということをお伝えしたいだけです。

優劣をつけるためだけに試合をしているわけではありません。

試合を通じて、勝敗という結果を手にして、その結果を受け止めて、自分なりに考えて更なる高みを目指していくという部分が大切なのです。

こういった部分に注目してみると、優劣をつけないということは、成長の機会を逃すことにもつながってしまうということになります。

勝敗という結果が出る試合でしか学べないことがあるのです。

これは、決して小さなものではありません。

私は3歳から高校を卒業するまで空手をしてきました。

15年間の中で多くの試合を経験してきたのですが、練習では学べないことを数多くの試合で学んできました。

そのどれもが、人生の中で必要だった経験だと感じています。

試合後、すぐに分からなくても時間が経ってから気付かされることも多く、どの試合も貴重な経験だったと思っています。

空手の試合は、相手と自分の力比べ。

それまで学んできた技術だけでなく、精神力も重要になってきます。

それは、小学生だろうが高校生だろうが変わりません。

負ければ、自分を否定される気持ちにもなりますし、無様な自分に失望することもあるでしょう。

もちろん、空手だけでなく他のスポーツでも勝敗があるという点は変わりません。

しかし、他のスポーツと空手の勝敗では違う点があります。

それが痛み。

寸止めとはいえ、相手の突きが顔に当たることもあるのです。

当然、当たれば痛みを感じます。

痛みが教えてくれることというのは少なくありません。

痛みを伴うということは、勝敗がより明確になってくることを意味します。

痛みがないスポーツの場合、負けてもそれほど実感を持てない場合があります。

しかし、痛みを伴えばその痛みが負けを実感させてくれる材料になるのです。

子どもにとっても大人にとっても、痛みは恐怖といえるでしょう。

負けて恐怖を感じる。

これは、他のスポーツではなかなか味わうことのできないもの。

つまり、他のスポーツと比べて空手は恐怖を感じる度合いが高いといえるのです。

そして、この恐怖を乗り越えることが重要になってきます。

だからこそ、試合で得られる勝敗という結果が、選手に大きな影響を与えるのです。

負けて学べることもある

試合を通じて、勝つこともあれば負けることもあります。

どちらの結果からも学べることはあるのですが、特に負けた時というのは、とても多くのことを学べる機会です。

先程も紹介した通り、空手の試合で負けるということは痛みを伴うことが多くなります。

当然、勝った試合でも痛みを伴うことはあるのですが、勝った時というのは痛みよりも歓びや興奮の方が勝り、それほど気にはなりません。

しかし、負けた試合の痛みというのは、なかなか消えることがありません。

試合で負けてしまったというショックもありますし、その後の試合に進めないという事実もあり、張りつめていた緊張の糸が切れてしまうことも関係しています。

では、負けた時、痛みを感じながらどのようなことが学べるのでしょうか?この章では、負けた時に学べることについて紹介していきたいと思います。

空手は基本的には個人競技です。

そして、試合は一対一で行われます。

つまり、目の前の相手と自分、どちらが強いのかをハッキリとさせるためのもの。

そして、試合では練習では味わうことのない痛みを感じることもあり、これらのことを踏まえても、とても厳しい状況であるといえるでしょう。

このような状況は日常生活を送っているだけではなかなか味わうことができません。

この厳しい状況の中、痛みを避けようと考えれば自分から踏み込んでいくことが難しくなります。

つまり、勝つことができないということ。

勝つためには、一歩踏み出す勇気が必要になってくるからです。

だからこそ、試合では勇気を振り絞って相手に向かっていくのですが、だからといって勝利が約束されているわけではないのが難しいところ。

せっかく勇気を振り絞って一歩を踏み出しても、負けてしまうことがあるのです。

そんな負けを味わうと、悔しさだけではない様々な感情が芽生えてきます。

ほんの数秒早く踏み込んでいれば。

もう半歩踏み込んでいれば。

そのような考えが浮かんでは、行動に移すことができなかった自分を情けなく思うでしょう。

頭で分かっていても、体が動かない。

悔しい思いをして、次の試合こそ。

そのように試合に臨んでも、なかなか思うように体は動かない。

周りから見れば、ただの繰り返しに思われるかもしれません。

しかし、そんな状況の中にこそ、学べることがたくさんあるのです。

頭で分かっていても、体が動かない。

その原因は恐怖心であったり、痛みからの逃避にあったりします。

これらを乗り越えるために練習してきたのにも関わらず、次の試合で更なる痛みを味わい負けてしまった。

せっかく手に入れた勇気がまたも崩れ去る瞬間もあるのです。

結果だけを見れば、一見何の進歩も見られないかもしれません。

しかし、繰り返すうちに見えてくるものが必ずあります。

成長速度に差はありますが、自分で掴み取るまでは負け続けても試合を繰り返すしかありません。

親の立場としては、色々なアドバイスを送りたくなるかもしれません。

しかし、本当の強さは誰かに教えてもらって身に付けるものではないのです。

もちろん、師範や先輩からのアドバイスによって、きっかけを掴む人もいるでしょう。

しかし、本当の強さを身に付けるためには、自分の頭で考えて自分なりの勝ち方を見つけていくしかないのです。

自分が進むべき空手道を探していく。

そのためには、試合を繰り返して見つけていくしかありません。

そして、この経験こそが必ずその後の人生において支えとなってくれるでしょう。

負けを繰り返していくと、何故勝てないのか?という考えが浮かんでくるようになります。

子どもを見守る親の立場としては、どうにかしたいと思うかもしれません。

しかし、自分で考え始めるようになるその時まで、焦らずに見守ってあげて下さい。

その環境こそが、試合で負けた時の成長に必要になってくるからです。

負け方によって学べることも違う?

負けた試合から学べることがたくさんあることを紹介してきましたが、実は負け方にもいくつかの種類が存在します。

自分の現段階の全力は出せた。

それでも負けた。

このような場合には、本人にとってもある意味納得がいく負け方といえます。

今回の試合を通じて、自分に足りなかったものがなになのかを考えて、練習に励んでいくしかありません。

練習に励み、もう一歩踏み込めるだけの自信を持てるようになるまでの練習を続けていくしかないでしょう。

大切になってくるのは、上記の負け方以外の負けです。

つまり、自分の力を発揮できないで負けた場合。

これにもいくつかのパターンがあるのですが、例えば相手に対しての恐怖心が強すぎて、心が逃げてしまったという場合があります。

相手が強いことを知っていると、どうしても恐怖心が先に出てしまいます。

そうなってくると、痛みを感じることなく試合を終えたいと思ってしまうもの。

つまり、勝ちたいという思いよりも、痛みなく無事に試合を終えたいという気持ちの方が強くなっている状況。

こうなってしまうと、全てが、後手、後手に回ってしまいます。

確かに防御に徹すれば、痛みはないかもしれません。

しかし、同時に勝てる可能性もなくなってしまいます。

結果、負けてしまう。

試合を終えた時には、悔しさよりも安堵感の方が大きいかもしれません。

しかし、このような試合を終えた時というのは、時間の経過とともに後悔の念が出てくることが多くなります。

確かに、痛みはなかった。

思ったよりも、きちんと試合ができた。

防げた攻撃もあった。

ひょっとすると、勝ちたいという気持ちで臨めば勝てたかもしれない。

自分が放棄した可能性について考え始めるようになるのです。

しかし、いくら考えても結果は変わりません。

ひょっとしたら、勝てたかもしれない試合を自ら放棄したという事実だけが残ってしまうのです。

ほんの少しだったとしても、存在していた可能性を放棄してしまった自分を情けなく感じることでしょう。

だからといって、この試合が無駄になることはありません。

この経験こそが次につながってくるからです。

次の試合でいきなり変わるということは難しいかもしれません。

なぜなら、それほど簡単ではないからです。

周りから見ていると、ついつい前に出ろと思ってしまうかもしれません。

しかし、相手に恐怖心を持たない空手家などいません。

どれほど実力差があったとしても、試合では何が起こるか分からないからです。

ほんの少しの油断が痛みにつながり、負けにつながってしまいます。

選手は、日常では味わうことのできない緊張状態の中にあるのです。

一対一という言い訳ができない状況というのは、それほど単純ではないのです。

様々な負けを経験していくことにより、自分の弱さが見えてきます。

それは、技術面だけではありません。

精神面での未熟さも思い知ることになります。

これは、小学生だったとしても同じこと。

試合に負けた我が子がケロッとしている。

このように感じるご両親もいるかもしれません。

中には、負けたのに平然としている。

悔しくないのか!?そんな風に怒りだしてしまう方もいるかもしれません。

しかし、私を含め道場で共に汗を流した仲間の中に、試合で負けて何も感じなかった子供はいませんでした。

一見、ケロッとしているように見えても、負けたという事実は残ります。

そして、そのような負けを繰り返していく中で、少しずつ強さに対する憧れが強くなってくるのです。

強さへの憧れは、やがて勝ちたいという欲求に変わっていきます。

勝ちたいという欲求が強くなればなるほど、自分の無力さを知ることになるかもしれません。

しかし、それでも強さへの憧れがあるからこそ、練習に励んでいくようになるのです。

試合に負けることによって、得られるものは自分の弱さを知るということ。

そして、自分を知るということにあります。

そして、自分を知るからこそ前に進みたいという心が芽生えてくるのです。

これこそが負けない心。

負けても立ち上がる心は、負けを経験しなければ手に入れられるものではないのです。

試合で勝つために必要なこととは?

ここまでは、試合の中でしか経験できないことや、学べることについて紹介してきました。

負けることによって、学べることがあるのも事実ですが、勝つという成功体験も重要になってきます。

そこで、気になってくるのが勝つために必要なこととは何か?ということです。

勝つために必要なこととは、もちろん日々の練習にあります。

これは絶対に必要な条件です。

しかし、実はそれ以外にも必要なことがあるのです。

その一つが心。

特に、中学生ぐらいの年齢までは、この点が非常に大切になってきます。

試合とはいえ、試合中ずっと集中しておく状態でいるということは、それほど簡単なことではありません。

先にポイントを取られてしまえば、焦りもでてきます。

焦りが出れば、相手に動きを読まれやすくなりますし、動きが雑になってしまうでしょう。

このような状況は、本当の意味で集中できているとはいえません。

つまり、心が乱れた状態になっているということ。

では、どうすれば心を乱さなくすることができるのでしょうか?

その一つの方法が、試合中の自分の心を覚えておくということ。

しかし、覚えるといっても記憶に留めておくだけでは意味がありません。

しっかりと記録しておくことが大切になってきます。

ノートに、試合の日付。

試合結果。

試合内容。

心がどのような状態にあったのか?

といったことを記録していくようにするのです。

記録していき読み直すことで、自分の弱さが見えてくるようになります。

そうなれば、その弱さを克服するための方法を考えることができるでしょう。

試合で勝つためには、心を乱さないようにするための準備が必要になってきます。

過去の心の乱れを知ることができれば、同じ過ちを繰り返しそうになった時に、立ち止まることができます。

そうなれば、試合中であっても心を立て直すことが可能になるでしょう。

試合で成功体験を積むためには、過去の失敗体験から学ぶことが大切になるのです。

経験するだけではなく、記録して考えることによって、前回の負けが必ず次の勝ちにつながるようになっていくでしょう。

まとめ

心身共に強くなるということは簡単ではありません。

心だけが強くても、体がついてこなければ勝つことは難しいでしょう。

また、体だけが強くても心が強くなければ、大切な場面で本領を発揮することができません。

いくら練習で強くても、試合で本領を発揮できなければ意味がないですよね。

試合で本領を発揮するためには、技術だけでなく心も大切になってくるのです。

負けない心。

言葉で説明することは簡単です。

しかし、本当の意味で負けない心を手に入れるためには、負けという事実を乗り越え、負けても、負けても前に進もうとする姿勢が大切になってきます。

負けた試合から何を学ぶのか?選手自身が意識していなくても、重ねた負けは必ず明日への糧になります。

もし、自分の子どもが試合に負けて、なにかアドバイスを送りたいと思うのであれば、自分で考えられる環境を作ってあげることを最初に考えるようにしてください。

考える時間があるという環境こそが、何よりも大切になってくるからです。